鬱という名の普段着

  ◎私は「うつ依存症」の女      2001年アメリカ=ドイツ 
      監督:エーリク・ショルビャルグ
      脚本:ガルト・ニーダーホッファー、フランク・ディージー、ラリー・グロス
      出演者:クリスティナ・リッチ、ジェシカ・ラング、ミシェル・ウィリアムズ
 
 「おれ、今日はうつ病でさ。」
 と、言うと、「石沢がうつ病なわけ、ないじゃん!ただ調子でないだけだろ。」
 で、終わってしまう。

 うつ病のひどい人になると、働らく事ができなくなり、休職、転職の繰り返しに
 陥る。
 『最後には自殺で解決!』というコースへ走ってしまう人もいる。
 そんな状態にはならず、なんとなく「うつ」の状態でいるオレは、あまり偉そう
 にうつに関して、語ってはいけないのかもしれない。

 それにしても、「うつ」は、漢字で書くと「鬱」。どう書いたら鬱という漢字が
 できるのか、虫めがねで拡大しないとわからないくらいだ。
 鬱という一文字を、よく観察してみる。木が茂って空が見えず、もんもんする
 様子(心のもやもや)が、漢字の形態から漂ってくる。
 その精神状態をよく表している。

 そういえば、「鬱」というそのものの、タイトルの本がある。
 著者は花村萬月だ。この小説は、言葉が部分部分で不思議な輝きを放っている。
 たとえば、次の三行。
  
 
ところが、そのとき、男は由美子の肛門を弄りまわしながらタイミングをはかったかのよう
 に耳許で自己紹介した。どこかふざけた調子で、尻切り魔だよ、と囁いた。肛門に固執する
 のを正当化するように抜群の頃合いで囁いた。
 
 おっと、花村萬月の話しをするためにこれを書き始めたのではなかった。
 小説の「鬱」の話しはこの次にしよう。

 エレベータの中で、おれが同僚に語った事。
 「DVD、レンタルしたんだ、”私は「うつ依存症」の女”っていうタイトル。
 最近、鬱の気持ちに、ドコンとはまってさ…。
 同じうつ病の人を観たら、はげまされるかな?って思って。」

 同僚は、「は?」と、怪訝な顔。その後、疑問を投げかける。
 「鬱の人が鬱の話しを聞いたり、観たりしたら、逆にますます生きてくのいや
 になっちゃうんじゃないの?」

 さて、そのDVDを見て、オレのうつは、少しは癒されたのだろうか?
 それとも同僚が言ったように、ひどくなっただけなのか?

 その映画は作家エリザベス・ワーツェルの自伝小説に基づき描いている。
 うつ病に陥った苦悩を描いた作品だ。
 彼女は19歳。ハーバード大学に入学。ルー・リードについて書いた音楽評が
 ローリングストーン誌で表彰を受ける。その未来は輝かしいものに思われた。

 ところが、次の音楽評がうまく書けない。
 それとドラッグや酒のやりすぎなのか、どんどん精神的におかしくなっていく。
 寝ないで原稿に取り組みだす、目もくぼみまるで死に向かうがごとく創作には
 げむ。原稿を書いては放り投げ、書いては頬リ投げ・・・
 やがてボーイフレンドが、原稿と彼女を無理やり引き離す。そのときの彼女の
 錯乱した状態に絶叫!
 とても迫力のあるシーンだった。

 彼女の精神状態は、ますます不安定になる。
 ひどい言葉で母親をなじり母親を傷つけ、友達の彼氏と遊び、友達を傷つけ、
 そして自分の行いに自己嫌悪に陥っている。
 やがては自分の体をカミソリで傷つけ・・・
 周りの全てを敵に回し、孤独に自ら落ち込みたいかのようなその生き方。
 これはしんどい。

 おれの鬱は、せいぜい暗くなって周りに迷惑がられる程度。
 彼女の場合は、大切な人間関係の全てを破壊するかのような、ある意味行動的な、
 鬱状態だ。
 
 彼女にとって鬱は普段着のようになっていく。
 ところが、彼女の母親が怪我をして入院し、付き添いをしているうちに、うつの
 状態で我がままを言っている場合では、なくなってしまう。皮肉な事にそこで
 多少、精神が安定する。
 彼女は、そんな平和な自分の精神状態に、逆に違和感を覚える。そしてまた
 鬱をひきよせるかのような行為をあえて行う。

 これを一緒に観ていた妻が言う。
 「この映画の女の人のように、きれいだけど、精神状態がグジャグジャな人と
 ブスだけど、性格がとてもいい人と、どっちと結婚したい?」
 妻は、もしも話しが好きだから、すぐこんな事を聞いてくる。

 いくらきれいでも、クリスティーナ・リッチがこの映画のような性格なら、
 勘弁願いたい。
 と、いいつつも
 オレも妻も最後まで見終わったということは、この映画がひきつけるものが
 あったからだ。

 一番、不思議でとらえどころのないものは、人間の心だ。
 そこが病となると、自分の想像を超えた行動の展開を披露してくれる。
 心理的な事に重みを置いている映画は、そこが面白い。
 
 母親とのシーンが何度も出てくる。
 彼女が鬱になる原因が、母親に全て原因しているとは思えない。
 結論が出ていない映画だ。彼女の鬱も完全には直らなかったようだし。
 ただ、無理をせず自分の鬱と付き合う覚悟を決めて、作者は新たな一歩を踏み
 出す。
 
 話しは、いきなり飛んでしまうが・・・。
 この主人公のクリスティーナ・リッチ、体は細身なんだけど、胸がけっこう
 ある。そこに眼がどうしても吸い寄せられてしまう。
 心理的なシリアスドラマなのに、胸に見入っているオレ。
 
 これだから、鬱なんて言っても、信用されないんだろうなぁ。 

                            2004年10月6日

  


☆☆☆ 気に入ってくれたなら、クリックお願いします。他の方のいろいろな作品にもつながっています。 ☆☆☆






[★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?! Click Here! 自宅で仕事がしたい人必見! Click Here!]
[ CGIレンタルサービス | 100MBの無料HPスペース | 検索エンジン登録代行サービス ]
[ 初心者でも安心なレンタルサーバー。50MBで250円から。CGI・SSI・PHPが使えます。 ]


FC2 キャッシング 出会い 無料アクセス解析